2010年 05月 07日 ( 1 )

リクルート事件・江副浩正の真実

この1年くらいでは、最もスリリングかつ考えさせられた本でした。リクルート事件そのものは、大学時代これでもかという報道量で今でも鮮明に記憶に残っています。江副さん自体は、大学時代にリクルートの前身となる会社を起業。不眠不休で日本を代表する会社を作りあげた人で、経営者としてずっと尊敬しています。何より感心するのは、リクルートの人間、あるいは辞めた人たちで魅力的な人たちが多いこと。
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その不世出の経営者が何で、未公開株を政財官学界にそれこそ見境無くばらまくんだろうって当時から思っていましたが、見返りを求めない応援の意味だったそうです(苦笑)。

その辺は信じられませんが、それはご本人も自分で書いたから、自分に都合の良いように書いてあるところも少なくないと率直に述べられています。


では、なぜ、この本が僕にとって凄いのか。ストーリーの起伏、そして、スピード感。佐藤優にも言えることですが、超人的な記憶力に支えられた現実感。

その中でも、検察とのやり取りは白眉。朝日を筆頭にメディアが検察からリークを受けつつ、記事の大洪水。それにあろうことか検察が振り回され、江副さんがメディアの報道に沿った供述をさせられる。しかも、虐待さながら。裁判所はそうやって取られた検察調書に最大の価値を置く。その間、江副さんに関わったさまざまな人間が葬り去られていく。

本当かどうか分かりません。しかし、この本を読むと少なくとも、取調べの可視化は必要と思えるようになってきました。


その江副さんも74歳。月日の経つのは早いもの。リクルートは今でも成長を続けている。その秘訣は、トップの見事な交代があるとは、誰も言うけれど、そこは、江副さん、

あのとき私がリクルートを離れたことが、リクルートにとってもよかった、といましみじみ思っている、

とのこと。

娘さんとの交流、対立してきた検察官との再会など触れられていて、読後感は爽やか。検察(権力)とは何か、メディアとは何か、経営とは何か、家族とは何か、など、いろんな側面から読めます。お薦めです。
by fromhotelhibiscus | 2010-05-07 20:00