差別と日本人

野中広務。いろいろな意味で、戦後日本を代表する政治家の一人。個人的な話ですが、内閣官房で仕事をしていた時の官房長官。あのときは小渕総理よりも、野中さんのほうがマスコミの数が多かった(笑)。

今とは全く重みも貫録も違う名官房長官。霞が関が完全に畏怖していました。

威圧的な風貌ですが、ほんと近寄りがたかった。戦う孤高の存在といった感じでした。自民党にも民主党にもそんな古めかしい政治家はいなくなりましたね。


その野中さんと辛さんとのかなり意外な対談集

しかも、テーマがお互い共通して受けた「差別」。部落と在日と。

野中さんの、

誰も手をつけなかった同和利権に関する税の問題などは、自分が政治家でいる間につぶしておかなければ、永久にこれは続いていくと思った、


平成6年、官僚になって2面目。総務庁の官房総務課にいましたが、同和対策事業が無くなる、まさに、その激論を聞いていたのが、とても印象に残っています。
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野中さんに、政治で最も大切なことは何ですか?と生意気にも聞いたことがあります。

野中さんのコメントは、即座に、

弱者への視点を忘れずに、問題を先送りしないこと、

でした。市民病院民間移譲問題で、絶対に忘れなかったことは、この言葉でした。

辛さんのコメントにかなり違和感を感じる部分はあるものの、お互い語り口が平易。差別に関して、しっかりとした意識を持たねばならない、そう思った重い読後感。野中さん、辛さんの実生活を語る部分は胸を鷲掴み。

お薦めです。
by fromhotelhibiscus | 2009-07-08 22:01
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