日本の難点

固い本が売れているようです。例えば、宮台真司の日本の難点。新書。あまりにも難しい山がそびえ立つような感じですが、それでも、極めて分かりやすいオアシスのようなところがあり、知的好奇心は満たされます。

大学時代、哲学もとっていましたが、「徹底的に考えろ」っていつもいつも言われて反発というか離脱。しかし、この話題のミヤダイ。社会学者に似つかわしく、行動する哲学。しかも、援助交際論を真面目に語る人はこの人くらいでしょう(笑)。
日本の難点_d0047811_2151224.jpg


本書では、複数の非功利的な「スゴイ奴」が周囲の人間を衝き動かすことを核にして、「包摂性」を回復した社会を構築すべきという立場。

ここで注目したのは、「包摂性」という概念。今のアトム化した人間(周囲のつながりを断たれた個人、佐藤優氏が多用。)に対してどうするかを、宮台は、具体的に、「コミュニケーション論・メディア論」「若者論・教育論」「幸福論」「米国論」「日本論」と切り分けながら具体的に話をしていく構図。

特に、「コミュニケーション論・メディア論」はぞくぞくするほど。「幸福論」は何のこっちゃ、全く分からず(笑)。

我々政治家(特に若い政治家)は、あるべき社会や国家を語りたがるが、その青臭さは本書には無い。僕とは考えを全く異にするが、被害を与えた中韓に対して、「未来のための謝罪ならOK」とするような「戦略的な立ち振る舞い」こそ必要という提言に、ミヤダイの真意がにじみ出ていると思います。

かなり刺激になりました。私たちが打ち出す政策で、効果があるものとそうでないものと2つに分かれる場合、何でだろうと不思議に思うことがありますが、この本にそのヒントがありました。スゴイ奴、包摂性がキーワード(僕にとって)。

しかし、よくこんな本が売れるなぁ。日本も捨てたものではないと思いました。この本は、分からなくてもいいから、高校生に読んでほしいな。考えることと行動がリンクする本というのはそうざらにないので。
by fromhotelhibiscus | 2009-06-17 21:05
<< 三本の大楠 武雄☆復興(武雄ルネッサンス) >>