青雲はるかに

以前にも少し書きましたが、青雲はるかなり

中国・戦国時代後期、貧しい一学徒から秦の宰相にまでのぼりつめた范雎。大望と宿敵への復讐の念、そして運命の女性の面影を胸に邁進した乱世の俊傑、范雎の生涯を雄大に描く。

とにかく、あらぬ罪をなしつけられ、半死となった主人公が莚でぐるぐる巻きにされ、厠で放り込まれるのが前半の最後。陰湿な復讐譚にはならない爽やかで鮮やかな行動。さまざまな個性豊かな人間が複雑に絡んで、面白い。

近攻遠交の創始者であり、秦の始皇帝の登場の下準備をした人物とは初めて知りました。

ちなみに、最大の親友が不可解な行動をとるが、著者は背景について何も触れず。読者に委ねたんでしょうね。ここが評価の分かれ目かもしれません。しかし、それをマイナス要素にしたとしても、この本は面白い。今まで読んだ宮城谷作品では断トツベストでした。


この本を紹介していただいたのが、というより、直接、「市長、この本は良かばい。」と渡していただいたのが、新江憲一由布院料理研究会会長。氏の生き方そのものがまるで主人公の范雎でした。新江さん、ありがとうございました。
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by fromhotelhibiscus | 2008-10-23 23:18
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