晩鐘

音楽だったり、焼き物だったり。これだけ、いろんなモノや情報が氾濫していると、何を手にとればいいのか途方にくれますが、僕は、目利きに相談します。

本大好きの50歳代の主婦さんが知り合いにいますが、この人がすごい。

歩く書評。そのもの。舌鋒鋭く本を切りまくる。

そのMさんが、生涯一の本として、「市長!読みんしゃい!」と貸してくれたのが、晩鐘。上下2冊でこれだけ厚い本は初めて。

そういえば、乃南さんは、直木賞受賞作凍える牙が掘り下げが甘く自分にはイマイチだったので期待していませんでしたが、最近読んだミャンマーが良かったので、ワクワクして借りました。


何というか、軽いし重い。乃南さんの抑えた筆致は、まるで、映画というかドラマを見るよう。あっという間に読めます。幕開けがとてもいい。

加害者の家族と被害者の家族、そして、マスコミ。らせん状に絡み合うストーリー。ちと出会いに無理があるかなという部分はあるけれども、圧倒的なドライブ感で気になりません。

モームの不朽の名作「人間の絆」に似た読後感。ただし、こちらは、昇華するのに対して、晩鐘は果てしなく落下する物語。宗教感が無い日本人が到達したストーリーと言えるのかもしれません。文庫版も出ています。

この本もまたお薦めです。Mさん、ありがとう。来週くらいに返しに行きます。
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by fromhotelhibiscus | 2008-08-28 23:25
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