【書評】ジョナサン・アイブ 偉大な製品を生み出すアップルの天才デザイナー

ジョナサン・アイブ 偉大な製品を生み出すアップルの天才デザイナー

2年前の夏、僕はシリコンバレーにあるApple、Google、facebook各本社を訪れました。明らかに異質だったのが、Apple。極端な熱狂と静寂と。相矛盾する感情をAppleという一つの生命体が糾合して、世界史に名を轟かせた成功を収めたのは周知の事実だけど、前者を生み出したのが、スティーブ・ジョブズ(当時故人)と後者はデザイナーのジョナサン・アイブというのは意外と知られていない。

また当時、Appleのキーパーソンの一人と話をしたんだけど、当然の事ながら、鉄のカーテンのずっと向こうに棲息するジョナサン・アイブのことは全然知らなかった・・。「アイブは僕らのこと、避けているんだよね。」とまで言ってました。

そのアイブの評伝がついに登場。

アイブは自分自身が出るのを極端に嫌がり、「このチームが素晴らしいのは・・」「私たちは・・」と静かに語り続ける。なぜ、Appleが成功し続けるのか、そのヒントがそこかしこにある。僕自身もAppleフリークだけど、最近はつまらない。デザインは洗練され使い心地はシャングリラレベルなんだけど、iPod、iPhone、iPad、iMacが最初に登場したときの非連続性が無いんだよね。

だから、僕は極端に言えば、スティーブ・ジョブズに「appleでアイブ以上に業務運営の権限を持つのは私だけだ。彼に指示を与えたり、口を挟んだりできる人間はいない(350頁)」とまで言わせたアイブを完全否定しない限り、Appleの未来は無いと思う。

そういう意味で、apple以上の飛躍を見たい、成し遂げたい、と思っている人たちにぜひ読んでほしい。そう思います。
by fromhotelhibiscus | 2015-01-23 23:29
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