【書評】女のいない男たち

村上春樹の最新の短篇集である女のいない男たち

ようやく読みました。僕は村上春樹の大ファン。ほとんど読んでいますが、最近の長編は辛い。面白く無いから。

この短篇集も最初、僕にとっては訳の分からない解説で始まり、あー、やめておこうかなって思った矢先、「ドライブ・マイ・カー」からぐいぐい引きこまれていく。今回のモチーフは、男から見た失恋モノ。しかし、初期の爽やかな風のような文体も無く、「森のバターを熊が舐めるような」といった中期の過剰な比喩も無く、文体そのものは硬く枯れている感じがしたが、それが今の村上春樹なのかもしれない。最近の長編では崩壊していた「村上余韻」も今回はしっかり堪能。

久しぶりに読んで良かったと思わせる作品でした。特に、「ドライブ・マイ・カー」「シェラザード」「木野」は村上春樹にしか絶対に描けない作品でお気に入り。次の長編が楽しみになってきた。

こんな人と同時代の空気を吸う幸せ。素敵な作品、ありがとうございました。
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by fromhotelhibiscus | 2014-08-30 23:06
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