驚きのセバストポールのまちづくり

今日はセバストポール4日目。もう夕方です。

そういえば、訪問は今回で4度目。この街は、訪れるたびに驚きと新しい発見があります。昨日、ロバート市長やパトリック副市長、ジョン議員やサラ議員、シティマネージャーのラリー氏などと意見交換したのですが、驚くべきはアメリカの地方自治のあり方。

アメリカは国、州、郡(カウンティ)という構造になっていて、自治体のあり方は州の憲法で定められています。そこでは、市は基本的に住民の発議で作られるものとされており、人口4万人のソノマ郡にあるセバストポール市(人口7700人)もしかり。そもそもの成り立ちが日本と全く異なります。

そして、市長も副市長も議員も、他に定職を持っていて、政務はほぼボランティア。市長は1週間に20〜30時間勤務していますが、給与はたったの月300ドル。まさにコーヒー代相当。市長の役割はスポークスマンと、議会で何を話すかというアジェンダを決めること。日本でいう議長みたいな存在です。そして、副市長はその補佐。アジェンダを受けて、5名の議員が第1、第3火曜日に議会を開いて議論し、決めていきます。議員の役割は、それら議会や委員会への出席に加え、コミュニティの集まりへの出席、それにカウンティや非営利団体とのリエゾン(つなぎ役)。議会には25もの委員会があり、議員が2名ずつ各委員会に所属します。

そこでは、例えばダウンタウンの空き地の開発をどうするかといった案件を、住民の意見を聴きながら一つずつ決めていきます。ボランティアながら議員もとにかく多忙。そして、行政分野では、シティマネージャーが事実上の市長。主な仕事は、議会が決めたことを確実に執行すること。今のシティマネージャーはもともとは市の顧問弁護士。ちなみにシティホールにいる事務職員はほんの数人。これにもびっくり。財政の面でいえば、セバストポール市の財政規模は12億円と、200億円を超える武雄市と比べかなり小規模。なので、使える範囲には限度があります。

例えば、市の図書館は、カウンティからの支給があるとはいえ、運営にはボランティアも関わっている。また、学校は州の管轄なので州に頼ることになりますが、ご多分に漏れず州財政も厳しい。そこで、今回お世話になっている水谷さんのように、保護者がボランティアで寄付を集め、子どもたちのために音楽や演劇の先生を雇えるようにしているのが現状。ちなみに、ファンドレイジングのやり方はまさに多種多様。

私が3年前にセバストポールで体験した、ロードレースを活用した寄付もそうですし、最近であればルネサンス・フェアというイベントを開催して寄付を集めようとしているなど、集め方がとにかくユニーク。あと、12億円のうち51%が市警察に使われているのも強烈。郡には郡警察(いわゆる保安官)があるのですが、セバストポールの市民は自分たちの街をより良くしたいと、市で警察をつくった。そこに限られた予算を集中投下する。これも住民の意志なんですよね。ただ、警察の職員は今26人ですが、そのうち12人はボランティア。ここにもボランティアの存在が。
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話をしていて強烈に感じたのは、ボランティアに対する考え方。お金がないからボランティア、ではなくて、自分たちのまちをもっと良くしたいという思いから、住民が自発的に、ごく自然にボランティア活動をしているのがとにかく印象的でした。そして、行政と議会がそれを一生懸命サポートする。ここが日本とは大きく異なる点だと思います。

また、レポートしますね。



by fromhotelhibiscus | 2014-08-21 08:57
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