【書評】原発ホワイトアウト

原発ホワイトアウト。こんな本です。

キャリア官僚による、リアル告発ノベル! 『三本の矢』を超える問題作、現る!!
再稼働が着々と進む原発……しかし日本の原発には、国民が知らされていない致命的な欠陥があった!
この事実を知らせようと動き始めた著者に迫り来る、尾行、嫌がらせ、脅迫……包囲網をかいくぐって国民に原発の危険性を知らせるには、ノンフィクション・ノベルを書くしかなかった!

【書評】原発ホワイトアウト_d0047811_22581410.jpg

既にベストセラーになっているので、ご存知の方が多いと思います。下品な暴露本だろうって思っていたんですが、友人の官僚の数人が、「この本はぜひ読んどいてくれ。」とのことだったので、重い腰を上げて読んだら、もう、最後までジェットコースター。最後のいくつかの山は驚嘆すべきもの。政界、官邸、自民党(本では保守党)、経済産業省、資源エネルギー庁、電力会社、マスコミの相克がこれでもかって出てきます。しかも、実際に起きた事件をうまくかぶせている。お見事。

そうは言っても小説としていくつかの欠点は出てきますが、それでも、話の面白さが十分それをカバーしていきます。僕自身、内閣官房勤務を含め10年以上官僚をやっていたので、この本は間違いなく、若手官僚の手によるもの。法令の扱い方、自民党部会の書きっぷり、総理秘書官と出身省庁との関係はインサイダーしか知り得ません。しかも、官邸にある程度アクセスできる人間。気になる一節が出てくるのです。しかし、少なくとも、霞が関の中の話は、役人やっている人間なら大体知り得ることです。

それと、一人で書いているとはとても思えず、ライター、マスコミ、弁護士を含め、恐らく、「憂国」の人たちのチームによるものなんでしょうね。司法・国会・行政の三権に加え、第4の権力であるマスコミの持ちつ持たれつ状態(実際は、この本ほどひどくありませんが)が赤裸々に。

国民の知る権利を高める意味でも、この本が出る意味は大きい。その勇気を讃えたいと思います。


by fromhotelhibiscus | 2014-01-20 23:13
<< 間伐材からアロマオイル 久松農園のニンジンジュース >>