国保が上がります。解説①

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最近、市内をまわったり、また、ランニング(今日は15キロ)の途中で呼び掛けられると、国保税の話が多い。そりゃ、12.9%上がる(佐賀新聞の記事はこちら)のだからそれは当然。明日から始まる市議会でしっかり説明していきますが、また、うちの医師会がご乱心。新武雄病院の開院で医療費が伸び、税率等の改正が必要になったのではないかとの話が医師会を中心にあちこちから伝わってきます。古賀医師会長、もし、この情報が間違っていれば、教えてください。率直に謝ります。

ま、それはともあれ、以下、解説。

1そもそも武雄市の医療費は他に比べて高くない。

武雄市の国民健康保険の療養諸費を見てみると、平成23年度で1人当たり38万4886円と、佐賀県内11位の順位であり、前年度に比較し金額では増加したものの、順位は1つ下がっている。これは、医療費についてはどこの市町でも増加しており全国的なもので、武雄市のみが増加している訳ではない。 (19年度=11位、20年度~22年度=10位)

2新武雄病院の受診が増加した分、市外や県外医療機関の受診が減少している。

平成23年度は診療報酬の改定はなかったが、武雄市の国保の医療費は医科(歯科・調剤は除く)で38億344万円、前年度(36億8978万円)に比較し3.1%、1億1366万円増加している。

① 入院(22億4234万円)については、件数(-24件)、日数(-2311日)とも減少しているのにかかわらず、医療費(+7433万円)は増加している。もう少し詳しく分析すると、
・新武雄病院は、件数(+103件)、日数(+264日)とも増加しているので、当然医療費(+7612万円)も増加している。
・市内の医療機関では、件数(+25件)は増加しているが、日数(-81日)は減少し、医療費(+99万円)は増加している。
・県内の医療機関では、件数(-86件)、日数(-1247日)とも減少しているが、医療費(+3388万円)は増加している。
・県外の医療機関では、件数(-66件)、日数(-1247日)、医療費(-3666万円)とも減少している。
入院件数の総数の減少に比較し、市外の医療機関の件数が大きく減少していることは、今まで市外の医療機関でしかできなかった医療が、新武雄病院で出来るようになったことが大きな要因と考えられる。(近くの病院ということで家族の入院に対する負担も軽減されている。)

② 入院外(15億6110万円)については、件数(-1281件)、日数(-8676日)とも減少しているのにかかわらず、医療費(+3933万円)は増加している。 もう少し詳しく分析すると、
・新武雄病院は、件数(+1136件)、日数(+1861日)とも増加しているので、当然医療費(+1081万円)も増加している。
しかし、
・市内の医療機関では、件数(-911件)、日数(-6219日)とも減少しているのに、医療費(+2215万円)は増加している。
・県内の医療機関でも、件数(-1324件)、日数(-4223日)とも減少しているのに、医療費(+918万円)は増加している。
普通に考えれば、件数、日数とも減少しているので当然医療費も減少するのではないかと思うが、高度な医療機器、検査機器が病院のみにとどまらず、クリニックにも配置されるようになり、外来での手術等も出来るようになってきたことから、医療費が増加したものと推測される。
先ほど述べたように受診される医療機関が市外から新武雄病院に移ったと考えるのが妥当である。

3税率改正は武雄市だけではない。

医療費は全国的に増加しており、また、国民健康保険加入者は農林水産業等の自営業中心から、年金生活者などの無職中心に変遷しており、制度上財政運営は厳しいものになっている。平成23年度では県内10市中7市が単年度収支で赤字である。

国民健康保険税の県内の改定については、平成20年度の後期高齢者医療制度の創設以降、
平成21年度から、A市は12.5%増
平成23年度から、B市は9.5%増、C市は7.0%増
平成24年度から、D市は17.1%増、F市は9.7%増の改定を実施されており、
平成25年度から、E市、G市も改定を予定されているところであり、県内10市中すでに5市が改定、2市が改定見込みであり、改正が武雄市独自のものではない。

その他では、武雄市単独でどうにもできない、後期高齢者支援金が5億8316万円で前年度(5億3383万円)より4933万円(9.2%の増加)、介護保険納付金が2億7329万円で前年度(2億5776万円)より1553万円(6.0%の増加)増加している。

これらの増加分も、国庫支出金等を差し引いても、不足する分は加入者の負担をお願いしなければならない

以上のことから、新武雄病院が開院したことで国民健康保険税を改定するとの話が聞こえてきたが、理解に苦しむもので、根拠は全く出鱈目と言わざるをえない。

4「新武雄病院」で救えた命がある

救急医療について言えば、4年前のリコール騒動からずっと言い続けてきたけど、心肺蘇生をしなければ心停止から1分ごとに救命率は7~10%下がると言われており、1分1秒でも早く治療が開始されることが重要である。

例えば、武雄温泉駅からの搬送時間は、佐賀大学付属病院や県立病院好生館までは30分以上かかり、嬉野医療センターでも15~20分かかるが、新武雄病院までは3~5分で済むことから、市内に新武雄病院が開院したことにより救われた命があり、市民の救急医療に対する安心感にも大きく寄与している。



次回は、来年4月から国保税率を平均12.9%引き上げる、その12.9%の意味を解説しますね。もちろん、収納率アップと医療費抑制に努めて、これ以上の率の増加が抑制的になるようにしなければなりませんが、医療費抑制に関しては、市民の皆さんの強い自覚と行動が必要です。

また、以前、直接お願いしましたが、転院搬送の抑制(1回の救急車出動に約7万円かかる。)と、そろそろ、新武雄病院のドクターを医師会に入れてくれませんか?個別の状態を見るとね、紹介、逆紹介も進んでいるよ。トップは、僕も自戒しているけど、強い指導力が必要。それは、あくまでも、市民福祉の維持向上のため。古賀医師会長、そう思いませんか?

この国保税UPと新武雄病院の関係も、新武雄病院が医師会のメンバーだったら、こんな議論にならないはず。
by fromhotelhibiscus | 2012-09-02 23:14
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