【書評】ホンダ イノベーションの神髄

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このホンダ イノベーションの神髄も面白かった。最近、読む本はアタリが多い。サンフランシスコ往復の20時間の機中、10冊読んだけど、眠れないほど(もともと機内で寝るのは不得手)、ワクワクした。その中の一冊がこれ。

武雄市は、今や行政視察(全国の議会や自治体の視察)が日本一を誇るほどになっています。おかげで、ビジネスホテルは増床するくらいなんですが、多くの皆さんは、「市役所と思えないほど活気がある。」「職員の挨拶が清々しい」など言ってくださるんですが、組織で活気が無い、挨拶が無い、というのはそもそも論外。それだけ、地方自治体や職員に対しては期待値が低い、その裏返しなんだろうなって思います(苦笑)。

その一方で、本題は、市民病院の民間委譲、震災瓦礫の受入表明、最近では、CCC×図書館構想など、功罪を含めて、武雄市役所や私、市議会に、いろんな注目が集まっていて、「なぜ、武雄市では可能になるのか?」と聞かれます。

僕はガバナンス(統治)の観点から、担当職員は、その政策のディテール(細部)を語ることになるんですが、この本を読んで、世界のホンダと比べるのもおこがましいのですが、意思決定の在り方、職員の巻き込み方など、かなり相似形だと思いました。

この一節はとにかく面白かった。

本田技術研究所は以前、全く業種の異なるA社との間で、研究員の交換留学をやったことがある。7~8人の若手・中堅の技術者を2カ月間、互いの研究所に派遣する予定だった。いわば「他人の飯を食う」経験をさせようとしたのだ。

ところが、これは大失敗だった。派遣された技術者はどちらも「仕事にならない」と不満を募らせ、結局1週間で中止になった。その理由が振るっている。A社から本田技術研究所に来た技術者の不満は「指示が曖昧で、何をやったらいいのか分からない」というもの。一方、本田技術研究所からA社に派遣された技術者の不満は「『あれをやれ』『これをやれ』と、やたらと指示が細かくて仕事にならない」というものだった。双方の不満は正反対だったのである。


また、これも良い。

自分の身の丈以上の重要な仕事を任された若い技術者は、誇らしさと責任の重さを感じ、目標の高さに圧倒され、そして全ては自分に懸かっていることをかみしめながら、「二階に上げられて、はしごを外された」と口にするのである。



総務省時代、まさに僕がこれでやられました(笑)。今の武雄市役所もこれに近い。

エアバッグ、アシモ、ホンダジェットなど、なぜ、日本の企業の中で、ホンダだけが高いイノベーションを保持できるのか、元ホンダ経営企画部長の小林さんが、あくまでも、実践論で語る。だから、説得力がある。

さすが、日経BP、良い本出すなって感心。経営者レベルの皆さんにぜひ読んでほしい。
by fromhotelhibiscus | 2012-08-16 23:07
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