「楽園のカンヴァス」は残念だった

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僕は芥川賞、直木賞など文学賞には全く興味ありません。最近は本屋大賞もなんだかなあって思ってました。が、やっぱり、ファンとはありがたいものですね。

今回、既に話題となっている原田マハの「楽園のカンヴァス」が直木賞にノミネート。僕はそもそも、この人のファンだし、これまた大好きな画家ルソーの代表作をモチーフにしたサスペンス。こんな本です。

ニューヨーク近代美術館の学芸員ティム・ブラウンは、スイスの大邸宅でありえない絵を目にしていた。MoMAが所蔵する、素朴派の巨匠アンリ・ルソーの大作『夢』。その名作とほぼ同じ構図、同じタッチの作が目の前にある。持ち主の大富豪は、真贋を正しく判定した者に作品を譲ると宣言、ヒントとして謎の古書を手渡した。好敵手は日本人研究者の早川織絵。リミットは七日間―。ピカソとルソー。二人の天才画家が生涯抱えた秘密が、いま、明かされる。


正直言って、詰めが甘いところがいくつかあったり、主人公の人生が、ある事件を境にしてあまりにもかけ離れるなど、構成としてはどうかなって思いますが、それでも、ルソーの「夢」をあれだけ大胆に提示した意欲は買いたいし、こういった欠点を吹き飛ばすだけの魅力があります。

画家の中では、僕はルソーが一番好き。ニューヨーク近代美術館の白眉である「眠るジプシー女」の前に居座ること数時間。完全にあの絵に吸い込まれました。あまりにも不審だったんでしょうね、警備員の人たちから、「どうかしたのか?」って何度も声をかけられました。こんな絵は、後にも先にも、この1枚だけ。今から24年も前、大学時代、ニューヨークを1か月ほど放浪してたときの話です。

だから、原田マハさんのルソーにかける意欲はよく分かるし、どうせ、直木賞取れるものだったらとって欲しいと思ったんですが、結果、ダメでした。ま、直木賞に比べれば、微生物みたいなものですが、僕が薦めます。絵画ファン、取り分け、ピカソやルソーが大好きなあなた、ダヴィンチ・コードにはまったあなたには特にお薦めです。また、次作が楽しみになってきました。
by fromhotelhibiscus | 2012-07-17 21:43
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