ソーシャルシフト―これからの企業にとって一番大切なこと

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良い本です。最近、経営者の皆さんが、口を揃えて、斉藤徹さんはマークしておいたほうがいいよ、とのことだったので、著者買いしたのが、この、「ソーシャルシフト―これからの企業にとって一番大切なこと

今、Facebookを始めとするソーシャルネットワークサービスで、企業や我々のような行政、NPOなど、組織と呼べるところは文字どおり地殻変動を起こしています。しかし、残念ながら、その動きを俯瞰した、また、整理した本が無い。そして、これからの道しるべとなるような本が無い。

そういう意味では、行政は触れてありませんが、企業がどのようにソーシャルネットワークに対応しているのか、その中の個人の役割はどのように変貌していくのか、大震災時のNHK(Twitter担当者)の対応、ソフトバンク、全日空、JAL、無印良品、東急ハンズなど豊富な事例がとても参考になる。


これは僕の欠陥だが、この本が説く、第8章(p255〜)のような、企業をソーシャルシフトする6つのステップといった抽象的な道しるべに関しては正直言って分からない。だから、僕のような実務家が分かるようにするためには、例えば、上記の企業が、じゃ、これからどうなっていくのか、具体的事例から紐解いた方が良かったのかもしれない。ただ、これは好みの問題かもしれない。

それとね、この本で説く「ソーシャルシフト」は顧客に素晴らしいブランド体験を提供するために、統一性のあるアイデンティティを構築することを目指すものだ(p257)と定義するが、僕は、シフトをこのような静的ではなく、動的なものとして捉えたい。筆者の斉藤さんが最初に言う「今、人々が望んでいるのは、騒がしい説得広告ではなく、控え目で共感を呼ぶメッセージ(p2)」という、「共感」や「シェア」そのものに社会(ソーシャル)そのものが「発信」や「収奪」からシフトしている状況を言うんじゃなかろうか。

ま、定義はともかくとして、この手の本は、大体、途中で眠くなるんですが、「読みやすい、分かりやすい、面白い」という(僕の)読書の絶対条件は軽くクリアーしています。

というわけで、斉藤さんにお願いがあるんですが、ぜひ、次は、胆の6章(ソーシャルシフト)をもっと具体的に書いてほしい。その際に、僕らのような住民に身近な行政も取り上げてほしい。

ソーシャルシフト2を楽しみにしています。あー、読者は素晴らしい。斉藤さん、ありがとう。
by fromhotelhibiscus | 2012-04-10 23:00
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