【書評】小さく賭けろ!―世界を変えた人と組織の成功の秘密

いやはや、この本も・・・。
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小さく賭けろ!―世界を変えた人と組織の成功の秘密

こんな内容です。

■成功する人と組織はみんな小さく賭けていた!
変化が速い今の時代、机の前で大きなプロジェクトを計画しても決して成功できない。成功している人と組織は、アイデアをすぐに小さい段階で実践している。ユーザーからの声や市場ニーズを反映して方向転換することで、魅力的なサービスを作り上げ、成功につなげている。

グーグル、ピクサー、スターバックス、グラミン銀行、大物コメディアン、有名建築家など数多くの事例を紹介。

・事例その1:スターバックス
当初の店舗ではイタリア語のメニュー、椅子がなく、大音量のオペラを流し、店員は蝶ネクタイ。ユーザーからも、店員からも不満が上がった。意見を反映してソファを入れ、店員はカジュアルな服装に変え、心地よい場所を提供して全世界にチェーン展開できた。

・事例その2:大物コメディアンのクリス・ロック
アカデミー賞の司会や映画監督などの経験もあるアメリカを代表するコメディアン、クリス・ロック。彼は地元の小さな舞台に立ち、何百ものギャグを試す。そのうちウケるのは一握り。観客にスベってあきれられながらも、実際にウケたギャグを磨き上げ、全国ネットのテレビ番組や世界ツアーで披露し、大爆笑を得ているのだ。

■小さく賭けて、素早い失敗、素早い学習をしよう!
小さく賭けてうまくいかなくても問題はない。「小さな賭け」では、アイデアから実践までが短期間で済むので、やり直しがきく。小さな失敗なので痛手も小さい。逆に、「素早く失敗」して、ユーザーのニーズを「素早く学習」できる効果は絶大だ。本書では、小さな賭け、素早い失敗、素早い学習を繰り返した事例を具体的に紹介している。

■失敗を許せるマインドセットとは?
「失敗から学べ」と言われても、失敗を恐れてなかなかチャレンジできない人たちが多い。チャレンジを恐れない「成長志向のマインドセット」はどうすれば持てるのか――。本書では、さまざまな研究や実験の結果や、ピクサーが実践する「プラシング」と呼ぶ手法などをひも解いている。



もうすぐ、スティーブジョブズの自伝を読み終わりますが、予想以上、桁違いの人間でした。この人の場合は、大きく賭けて、大きく成功し、大きく失敗する人。しかし、まず、この人に関しては、プレゼンはとっても参考になるものの、ビジネスや組織運営に関しては、参考にならない。

そうはいっても、世界的に成功している例は、先入観から、自分とは程遠いだろうなって思ってしまうし、そこで諦めにつながってしまうというのが、今までだったと思うんだけど、この本の凄みは、いろんな小さな試みを積み重ねること、そして、起る失敗に関して修正を重ねていく、そういう成功へつながる事例がこれでもかって出てきます。

今日、佐賀新聞、朝日新聞を含め、いくつか取材を受けましたが、その中で、「武雄市役所はなぜ失敗が少ないのか?」って聞かれましたが、違います。失敗も数多し。7割は失敗しています。いや8割かな。しかし、成功している事例を思い切り伸ばし、一方で、修正に修正を重ねていきます。ある意味、この本のように、小さくコツコツ賭けている事例の1つかもしれないって思いました。

この本は武勇伝でも英雄伝、理想論ではない。しかも、学者の机上の空論でもない。

Little Bets(小さく賭けろ!)は、至極普通だと思うんだけど、実は今まで考えもしなかった斬新な見方、切り口だと思います。今、思えば無かったのが不思議な本。

Road to Our Success.

成功への道を提示し、しかも、ハードトレッキングではなく、みんなが素早い失敗、素早い学習を繰り返すことによって、登れるよって示した意義はとっても大きいと思う。特にみんなを連れて行かなくちゃいけない経営者は必読。僕もこれからいろんな人に薦めます。

滑川海彦さん、高橋信夫さんの訳も素晴らしい。とっても読みやすい仕上がり。何だか、いつも飲むじっくり淹れた美味しいコーヒーを飲んだときのような読後感。幸せになりました。ありがとうございました。
by fromhotelhibiscus | 2012-04-06 21:24
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