リスナーを信じて、放送をしていいですか

既に新聞の書評等で話題になっている「ラジオ福島の300日」。
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すべての、被災した県民と、共にあるためにーー東日本大震災発災から350時間14分の、自ら収入を断つことに他ならないCMカット連続生放送。社の存続さえ危ぶまれるなか、ラジオ福島はインターネットとの連動型災害放送で県内外、海外へも声を届け、多大な支持を集めた。放射能への不安を胸底にかかえながら、誰に何をどう伝えるべきかに苦悩し奔走して、ラジオの新たな地平を示した、社員55人、中継車2台の小さな放送局の、2011年3日11日から1年間の闘い。

という内容。去年の3月22日、ソフトバンクの孫社長とともに、当時避難所になっていた福島県田村市総合体育館。ラジオがあちらこちらで鳴っていましたが、その内容からして、ラジオ福島の災害報道特別番組だったということは間違いない。ガソリンスタンドやコンビニ、スーパーの情報を矢継ぎ早に流して、それに必死になって食らいついている(表現はおかしいかもしれませんが)避難をされた皆さんたち。

ラジオの有用性を感じていました。まさか、日経ビジネスオンラインで、私や武雄市を特集してくださった、片瀬京子さんが執筆しておられたとは。世の中狭い。

片瀬さん独特の硬質でスピード感溢れる、淡々としながらも時折見せる熱い筆致で、ぐいぐい引き込まれていきました。38ページの「リスナーを信じて、放送をしていいですか。」のあたりから、ページをめくるのももどかしい。

地震、津波に加え、福島原発の被害。ラジオ局も倒産寸前で右往左往。その中からが沸き出してくる叡智と勇気。ソーシャルネットワークとラジオの関係も克明に。ラジオが、TwitterやFacebookなどに連動する姿もまた克明に記されています。

被災した地方のラジオ局の悩み、苦しみ、痛み、喜び、がそこにあります。そして、私たちが知りたいのは、片瀬さんも書いてあるとおり、誰のために、どうやって放送を続けたのか、それを支えたのは誰なのか、その記録。この震災は他人事ではなく、いつでも起こり得るものだから。

生意気言って申し訳ありませんが、片瀬さん、凄い仕事をされましたね。お疲れさまです。
by fromhotelhibiscus | 2012-03-27 08:30
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