震災がれき処理に関して

今日たまたまですが、佐賀新聞では、僕の論考。西日本新聞の社説では、私や武雄市を触れた上で、内閣の総力を挙げた取組について書いてあります。
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まず、佐賀新聞。ポイントは、瓦礫の処理は①被災三県、②三県でできないものを隣接県、③それでもできないものはさらにその近く、であって、徒に遠方に広げることはできない、しかし、その全国的な構え(法制度)を作っておくことは大切だと言いましたが、③の部分を記事は少し取り違えてますね。


脅迫は論外だが、批判運動や「がれき=放射能」がここまで広がっているのは、国の責任だと思います。環境省は、この瓦礫の問題は地方の問題だからといって逃げているし、現に、放射線がれきを処理するための法律には、許せないことに、国民の責任まで触れてある。国や地方公共団体が進める放射線を含んだ瓦礫処理については協力するように書いてあります。もちろん、この法律には、放射線の基準は何も書いていない。

民主党の国会議員の皆さん、この点ご存知でしたか?政治主導ってどこにいったんでしょう?霞が関を野放しにしておくとこんな欠陥法案が出来上がる。僕はこの点も正していきたい。


次に西日本新聞の社説。最初のすっぱ抜きは西日本新聞の夕刊。すっぱ抜き自体を否定するわけじゃないけど、事実誤認を含み、粗い記事だったので怒ってましたが、この社説は、今までの瓦礫処理に関する記事の中で僕が知る限りベストだと思う。さすがだ。付け加えることは何も無い。

過去官僚としての立場から言うと、この瓦礫処理、所管がはっきりしない。その上で、環境省だと地方との関係が疎遠だしそもそも力が無い、地方との関係が深い総務省はその直接権限が無い。内閣府は各省から来た烏合の衆、文部科学省も環境省と同じレベル。そういう縦割り、立ちすくみ状態でどうすべきか。そう、この状態を動かすのは、西日本新聞が書いてあるとおり、内閣総力で取り組むべきで、野田総理の責任は極めて重い。

瓦礫が撤去されなければ、復興への一歩さえも踏み出せない。これもそのとおりです。

記事はこちらです。ネットからコピーしました。

 発生から9カ月、師走を迎えた東日本大震災の被災地で、大量に出たがれきの処理が遅々として進まない。

 一例を挙げよう。宮城県石巻市では、泥だらけの衣類や家具などがむき出しで積み上げられている場所が少なくない。悪臭が漂い、がれき内部で発生したガスによる火災や害虫にも悩まされる。

 とりわけ、被害が甚大だった岩手、宮城、福島の東北3県は深刻な状況だ。

 国は原発事故が起こった福島県では原則県内処分とし、岩手、宮城両県については広域処理を打ち出している。

 環境省によると、両県の震災がれきは年間一般廃棄物量の11―19年分に相当する計2045万トンに上るという。現地だけでは到底、対処しきれない量だ。広域処理が不可欠なことは理解できる。

 ところが、がれき処理を引き受けているのは現在でも山形県内6市町と東京都の計7自治体にとどまる。青森県八戸市も先月、受け入れを決定した。しかし、協力態勢はなかなか広がらない。

 環境省が4月に調査した時点で572市町村が受け入れに前向きだったが、10月には「検討中」が48市町村にまで激減した。大きな要因は、原発事故に伴う放射性物質による汚染を懸念し、大半の自治体が消極的になっているためだ。

 がれきの受け入れを表明した佐賀県武雄市には、市外を中心に千件を超える反対や抗議が寄せられた。自ら何度も被災地に足を運んだ樋渡啓祐市長が滞る広域処理の現状を憂慮した結果だったが、市職員に危害を加えるという脅迫もあって見送らざるを得なくなったという。

 賛否の意見はともかく、脅迫まですることは許し難い行為である。

 被災地の支援は、多くの人が共有する思いだろう。一方で、自治体としては住民の不安に配慮しなければならないのも事実である。このような事態が続けば、自治体側がさらに慎重になるだけだ。

 宮城県が先月25日に公表したがれきの含有放射性物質濃度測定結果では、放射性セシウムの数値は国の基準を下回ったものの、一部地域では可燃物を燃やした場合に放射性物質が濃縮されて基準を超える可能性を指摘している。

 こうした状況を受け、原子力問題の専門家は「放射性物質を吸着するフィルターを付けるなど、焼却炉の装備を万全にする必要がある」と提言する。

 前岩手県知事の増田寛也氏は「国からは、本気でがれき問題に取り組む姿勢が感じられない。がれき処理のノウハウを持つ国土交通省なども協力して、内閣総力で取り組まなくてはならない」と訴える。まさに、その通りである。

 がれきが撤去されなければ、復興への一歩さえも踏み出せない。

 広域処理に伴う受け入れ態勢整備を、自治体任せにするには限界がある。処理方法の安全性確保策などを国が前面に出て具体的に説明し、国民の理解を求める努力を早急にすべきだ。


=2011/12/11付 西日本新聞朝刊=

by fromhotelhibiscus | 2011-12-11 18:07
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