内訟録〜細川護煕総理大臣日記〜

内訟録〜細川護煕総理大臣日記〜_d0047811_0314819.jpg

民主党の国会議員の友人から、この「内訟録」という本は面白いよ、読んでおいて、ということだったので、読みました。

さかのぼること、1993年(平成5年)。僕が総務庁(現総務省)に入った年。いきなり、宮沢自民党が下野し、国民的熱狂の中で、細川さんが内閣総理大臣へ。自民党とべったりで来た霞が関は大混乱になったことを覚えています。

やることなすこと、新鮮なものばかり。ただ、中央省庁は冷ややかに、この細川連立政権を眺めていました。せっせと、隠れながら、自民党の幹部に日参する局長もいました。

僕自身は、役所に入りたてということもあって、先入観も無く、ただ、政策決定というのは、こんなに手間ひまかかるものなのか、と他人事のように。新生党が了でも、社会党が反対、で結局パー。今話題の小沢さんと武村官房長官の不仲は、僕ら一年生まで知られるほど。まさに、ガラス細工の政権。

その当事者中の当事者が往時書いていた日記。日経新聞の一日の総理動向や、小沢さんたちの証言が入って、しかも、章ごとに解説が付いている。

面白かろうと、と思ったんですが、面白くない。まるで、政権穫ったのに他人事。殿様。しかし、読み進めて行くに従って、とんでも無い誤解だったことに気づく。コメの部分開放、政治改革など細川さんの執念があってこそ。この本では、今話題の小沢さんも得意の雲隠れすることはあっても、誠心誠意、総理に尽くしている。

それにしても、未だに、細川政権263日の評価は定ってません。混乱の始まりか、新たな時代の幕開けか、どちらを評価するにしても、これは第一級の政治的歴史的資料。

読み進めるに従って、静かな興奮が。しかも、極めて幸運なことに、細川政権のときに名前が出てくる政府高官の真下(末端)で働いていました。細川さんから決して好意的な評価を受けてませんが(苦笑)。というわけで名前はあえて伏せます。

意外なことに、細川さんでも内閣支持率は気にしているし、人間の好き嫌いも結構激しい。武村さんとは最初からダメだったようで。世論、権力、確執、迎合、妥協、与野党、霞が関、国会議員、総理から見た眺め。

面白いです。
by fromhotelhibiscus | 2010-09-03 23:59
<< 肥前黒牟田焼、多々良焼、熊本県小国町 子どもと大人のやさいの本 >>