社長・溝畑宏の天国と地獄 ~大分トリニータの15年

4年前、市長就任時、「溝畑トリニータ社長が樋渡君に会いたがっている。溝畑さんと樋渡市長はスタンスがとても似ている。勉強になるよ。」とのことでした。しかし、新米市長ゆえ、そして、市民病院問題勃発で、日程が合わず、それっきりになってました。その溝畑社長、テレビで、大分トリニータ社長解任の時に涙を流していたのを拝見。

社長・溝畑宏の天国と地獄 ~大分トリニータの15年
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この溝畑さん、溝畑先輩、総務省のOBで在任中から伝説。その宴会芸たるや、このブログではとても書けません(笑)。全国見渡しても、これだけ破天荒な人間、変人奇人は、いませんし、しかも、そもそも保身第一が跋扈する官僚出身。

大分県庁に出向時に、グラウンドやクラブハウスも選手もいないところから、サッカーチームを立ち上げ、高級官僚の座を投げ捨て、社長に就任。15年で日本一(2008年ナビスコカップ優勝)に導いた。かと思えば、その翌年には経営が破綻。そして、社長解任。しかし、今度は、多くの大分県民の恨みを未だに買っている観光庁長官就任。就任時の記者会見で述べた「観光庁長官就任は天命です。」は最高にまずかった。その結果、多くの大分県民から恨みを買うことに。

このお方。とにかく出たがり、失言癖、根回し不足、トップダウン(僕のことでは無いですよ(笑))で、アンチ溝畑包囲網がある一方、とにかく天才的な営業力(彼一人で20億以上集める。)、1億円の私費を投じるなど無私の精神、24時間365日の仕事振りなど、熱狂的な溝畑ファンもたくさん。

毀誉褒貶のただ中にある、いや、ほとんどが批判非難のただ中にある溝畑伝説を冷静かつ客観的にルポしたのがこの本。対象(溝畑さん)が面白いのもあるんですが、それを支える話の構成が抜群。膨大な周辺取材に裏打ちされた厚みのあるストーリー展開。一気に読みました。

ちなみに、総務省時代、古川康さん(現在、佐賀県知事)との面白い交流も触れてあって、興味深く拝読しました。古川さんがいなかったら、溝畑さんは総務省(旧自治省)に入っていないことも書いてあります(これは霞が関では有名な話なんですが。)。

村上龍のコメントにもあるように、「地方とは?」という問いかけ、組織論、交渉論、様々なところで、教師として、反面教師として、参考になりました。たぶん、僕にとって、この本が今年のベストワンだと思います。それだけ、図抜けています。オススメです。
by fromhotelhibiscus | 2010-07-07 22:04
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