【書評】ゴーマニズム宣言SPECIAL 新戦争論1

既に話題の新刊。ゴーマニズム宣言SPECIAL 新戦争論1

17年前に出された戦争論が、論壇なんかをすっ飛ばして、一般の国民にまで浸透したところから、先の大戦への誤った考え方のみならず、戦後の自虐史観を吹っ飛ばしたことを鮮烈かつ痛快な記憶として残っている。ただ、薬の力は強ければ強いほど、本書でも触れている副作用も激烈。

そして、17年間経った今日。この新戦争論が出てきたわけだけど、まず、冒頭言わなくはいけないのが、95%の論理の積み上げは驚嘆する者があるけど、最後の5%のところ、例えば、9.11の貿易センタービルへのアタックを一定肯定しているところなどは生理的に受け付けないが、それ以外は、全面的に支持したい。

この本の強みは、例えばイラク戦争の誤りを小林氏は開戦前から何度も書き、フセインの一定の擁護をしているのだけど、当時、僕も良く覚えているのが、福田和也氏、岡崎久彦氏らは全面的にブッシュ&アメリカを支持していた。しかし、今回の新刊で、「自分はこう言っていた」「彼らはこう言っていた」ということを出した上で、舌鋒鋭く批判する。これは長く描いていたからこそできる芸当。

そして、もっと大きな話をすれば、僕自身、安倍総理の体のことをこれでもかというように批判したり、常軌を逸しているのではないかと思うくらいの個別の批判には首肯できないところもあるけど、それでも、拘りも偏りも無い、それでいってはっとする言説には拍手。例えば、154ページに、

保守とは本来、歴史から学ぶことであり、歴史を無視する「設計主義」を否定する態度のことである。人間の浅知恵で計画通りに社会や、国や、世界を作り変えることができないと考えるのが保守である。したがってマルクス主義という設計主義で、歴史を無視して作られたソ連、中国、北朝鮮も「左翼」だが、歴史や伝統がないゆに、自国の民主主義を最大の価値と信じ込むアメリカも「左翼」なのだ。

そして、日本の自称保守が、アメリカを追随するさまを「恐米」と称し「左翼」であると断じる当たりは、この本の1つの山になる。僕自身、沖縄で働いた経験を持つが、中盤から、沖縄戦のことが出てくるが、バランス感覚に溢れる論考を展開する。もちろん、毒があり激烈はあるけど。

あといろいろ書きたいことはあるけど、久しぶりに毒てんこ盛りの脳髄を震撼させる本を読んだ。お薦めです。
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by fromhotelhibiscus | 2015-02-11 09:38
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