国はキャッシュバック制度を採り入れるべき

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今日、衆議院・経済産業委員会で参考人質疑に臨みました。まあ、国会の参考人に呼ばれるなんて最初で最後だから思い切ったことを言おうと割り切っていましたが、さすがに、あの思い雰囲気の中で、最初は足が震えましたが、徐々にペースを掴み、途中、途中で笑いと毒を入れながら、一番言いたかった提言である「キャッシュバック制度」を申し上げました。後半に出てくるので、良かったら読んでください。

動画はこちらです(4時間49分30秒から参考人質疑が始まります。)。


意見陳述の全文はこちらです(武雄市役所の随行員が暫定的に起こしたものです。)。

本日このような機会を与えていただきました江田委員長、三原筆頭理事をはじめ、各委員の皆さんに大変お世話になります。武雄市長の樋渡でございます。まず、各地に豊富に存在する地方資源については、先生ご案内のとおり「眠れる宝」であり「原石」であると痛感をしております。

地域活性化の最大のテーマは地域所得の向上であり、その地域ならではの資源を活かすことで、全国の需要を取りこみ、地域活性化につなげることができるポテンシャルは大きいものと存じます。

まさに今、地域活性化の最後のチャンスだと思っております。そういった意味で、今般の「中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律の一部改正」が目指す方向については、賛成であります。

私ども武雄市では、私が市長を就任させていただいた平成18年以降、事業化については事業の芽出し、スタートの部分は市がまず行います。そして軌道に乗った段階で民間に譲り渡す「官営八幡製鉄所方式」により、特産品開発を強力に進めてきました。

まず、レモングラスについてであります。レモングラスについてはレモングラス課を設置し、最初の試験栽培など、農業組合法人が設置、設立されるまでの間、市が直接実施をしておりました。

いのししについては、マイナスの財産をプラスの財産にすべく、いのしし課を設置し、鳥獣の捕獲や処理加工等において市が支援し、その支援割合を徐々に減らしていく方向にあります。いのしし課長は「いのしかちょう」と言われております。(会場笑)

現在、今度はトロピカルフルーツ係を設置しております。国産のライチ、リュウガン、アボカドを試験栽培して、次の世代の主要作物にしてまいる所存であります。ドリアンは失敗しました。(会場笑)

ただ一方で、質の高い商品を作ったにしても、その存在を消費者に知ってもらうことが大切でありますが、生産者、中小企業だけでは情報発信やプロモーション、販路開拓に限界があるのも事実であります。ここで行き倒れになる例を全国あまた見てきております。

したがって、武雄市では最終的に市民所得の向上のため、地域活性化につながるためには、生産だけでなく、情報発信やプロモーション、販路開拓において、私たち行政が協力に関与してきました。

具体的には3つあります。ひとつは私自身のトップセールスであります。首長は「街の経営者」でなければならないと存じております。自ら旗を振って情報発信やプロモーションを行うことが重要であります。今、武雄市で最も話題となっている図書館、TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブと組んでおりますけれども、これもトップセールスで成し得ました。そして、伊勢丹の新宿店でレモングラスフェアを毎年開催しております。レモングラスだけで5億円の経済効果、図書館だけで20億円の経済効果があるといわれております。

次にfacebook等の積極的活用であります。2011年8月に市のホームページをfacebookに移行させました。ホームページのアクセスが年間60万件から3990万件に急増しました。これにより、情報発信の強化や、消費者との双方向の情報共有を実現しました。

これによってfacebookをやることによって関心のある層に直接モノを売ろうということから、私たちはなんと通販を始めました。「Amazon」「楽天」に続く第3極を目指しています。2011年11月に自治体通販サイト「FB良品」を開設し、「官民一体」でこれは実施しております。

複数の自治体の参加によるプロモーションの向上であります。現在は、ヤフーと連携し、「自治体特選ストア」をヤフーショッピング内に設置することで、集客力の強化を図っております。

また、最近では、消費性向の変化に伴い、モノだけでなく、観光、ミシュランの5つ星の旅館である竹林亭での宿泊プラン、あるいは体験、ジョギング体験など観光振興につながるモノからコトの観光の商品も取り扱っております。

これまで述べたように、地域資源の活用には、市町村の特に首長の強力な関与が必要であります。生産のみならず、情報発信や販路開拓への支援も重要であります。「モノ」だけでなく「コト」も地域資源として売り出すことで、観光振興など地域活性化につながることが必要であります。

これを踏まえますと、本法案の改正趣旨は重ねてでありますが時代に即しているものと認識しております。

ここからが本題であります。今回の法改正は、地方活性化に寄与するという点では評価をしております。が、安倍政権が掲げる地方創生については、現在私ども懸念しておりますけれども、単なる国のバラマキにならないかと非常に心配しております。また、地方の立場としては、何でもかんでも欲求するボッタクリ体質を払拭することが必要であります。

一つ提案であります。法第6条第3項では、地域産業資源活用事業計画に記載すべき事項が規定されております。例えば、同項第1号に定めている「目標」について、売上等を明記の上、達成できない場合は、市区町村が補助金を国に返還するキャッシュバック規定を政令で定めたらどうかと思っております。

具体的に申し上げます。2000万円の補助を受けたとします。その時に1億円の売り上げ目標が結局5000万円で終わったとしたら、達成率が50%になります。2000万円の達成率半分50%、すなわち1000万円を市区町村が国に返還するというものであります。

また、今回新たに法第8条第2項に規定する地域産業資源活用支援事業計画についても同様に、同項第2号に定める「目標」について達成目標を決めた上で、達成できない場合は市区町村もしくは一般社団法人等が補助金を国に返還することとしては如何かと思います。

一方で、目標を上回れば一定割合、正のキャッシュバックをするというインセンティブもあわせて設けられたら如何と思います。ポイントでもいいと思います。ただ、Tポイントに限らなくても結構だと思います。(会場笑)

そもそも、市区町村長の関与だけあって責任がないのはあり得ません。このスキームにより、市区町村長もリスクを共有し、地域ブランドづくりに真剣に本気に考えることになります。伊勢丹のバイヤーさんがなぜすごいのかといえば、常に強烈なリスク、プレッシャーに晒されているからであります。プレッシャー無くしての成長はあり得ません。市区町村長も国民の税金を、貴重な税金を使っている以上、失敗すれば切腹ものであります。

私は、武雄市観光協会の協会長を兼ねておりますが、武雄市でも、地域産業資源活用支援事業について、観光協会としてぜひ手を挙げたいと考えておす。もし失敗したら補助金は返還いたします。

法案成立のあかつきには、このようなスキームが政令で採用されることを、中小企業庁には大いに期待をするところであります。

最後になります。武雄市では来年度から始まる官民一体型小学校の創設、すなわち、学習塾、花まる学習会と市立の公立小学校を合体させ、明治5年の学制公布以来、一斉授業の大転換を図ろうとしております。

翻って、国から地方への補助のスキームも今まで一方通行でありました。そこに地方の甘え、ボッタクリ体質、1000万円が必要なのに、例えば5000万円要求しとけというのが一般的な姿でありました。盛っておりました。盛るのは蕎麦だけで十分であります。(会場笑)

今回の法改正を一大転機として、一方通行から一体化へ舵を切ることで、明治以来続く、この国の補助のあり方を貴委員会から変えていただくことを強くお願い申し上げます。地方創生は、現場を預かる身としては責任が希薄な今までのバラマキ体質になるのを最も危惧しております。

重ねてではありますが、この法改正によって、市区町村が関与と責任を持つ真の地方創生、真の地方分権につながることを期待し、そして私はこの法改正の目指す、理念、方向について積極的に応援いたすことをお約束申し上げ、私の意見陳述を閉じたいと思います。

ご清聴、ありがとうございました。(会場拍手)



委員長や各委員から、「これほど楽しい、身のある参考人質疑は初めて。」という評価を頂き、国会外へ見送っていただいた衆議院事務局の職員の方から、「歴史に残る参考人質疑でした。」とにこやかに評価いただきました。

言いたいこと、言うべきことは言えたのかなって思います。日帰り弾丸出張でした。明日からまた課題が山積する市政に戻ります。
by fromhotelhibiscus | 2014-11-06 00:12
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