【書評】センスは知識からはじまる

センスは知識からはじまる

クリエイティブ・ディレクターの水野学さんの最新刊。水野さんといえば、今、僕が最も注目する人間。前々から、くまモンだったり、NTTドコモ「iD」だったり、宇多田ヒカルさんのジャケットだったり、この人のコンテンツはストンと気持ちに入っていく心地よさがある。何でだろうってずっと思っていたら、TBS「情熱大陸」あるいは本書でも明かされているけど、人の話を良く聴く、そして、その勉強量は半端ない。それをダイレクトに実感したのが、G1九州・沖縄で水野さんと対談した時(おかげさまでもうすぐ3000回の視聴になるようです。)。

僕の意味不明な直感を水野さんは次々に分かりやすく論理的に解き明かしていく。そう、その時に感じたのは、水野さんが直感では無く、膨大な知識からひも解いて答えていたこと。だから、センスは知識からはじまる、と水野さんは言いたいんでしょうね。僕はさらに進めて、センスは知識から始まり、かつ、教養(リベラル・アーツ)に深化していくのではないかと思うんです。

僕もセンスは持って生まれたモノではないと思っています。誰もが持ち、深化させていく。しかし、水野さんはそこに知識という言葉を与えた。そして、センスが万人に開かれた普遍的なモノになったと驚嘆しています。

水野さんは普通の人間。僕も普通の人間です。19ページから始まる「普通」論をひも解くだけでもこの本は買いだと思います。最近、この手の本はインパクトのみで食傷気味でしたが、すっきり落ちる、そして、今日から誰でもできる実践的な「教科書」。こんな魅力的な教科書が世の中に溢れていたら、もっと日々の生活は魅力的なものになり得ると思う。水野さん、次作を期待しています。
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by fromhotelhibiscus | 2014-05-07 10:50
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