【書評】仕事に効く 教養としての「世界史」

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仕事に効く 教養としての「世界史」

生命保険ライフネットの会長兼CEOの出口さん。異色の経営者として知られ、氏を慕う経営者は多数。私自身はお会いしたことが無いのですが、面白いことをズケズケ言うおっちゃんやなってずっと思っていました。

その出口さんがライフワークである世界史の本を上梓。最初からグイグイ引き込まれます。まず、「奈良時代の女帝」「種子島の鉄砲伝来」「黒船開国」を当時の世界の趨勢から読み解きますが、僕らが習った日本史とはかなり形相が異なります。日本史と世界史を切り分ける意味がほとんど無いことが思い知らされます。例えば、奈良時代に、持統天皇、元明天皇、元正天皇、孝謙天皇・・と女帝が続々と出てきますが、僕らは「皇位を継承すべき男性が病気などでいなくなったので、仕方なく、女性に継がせた。」と習いましたが、この時期、唐や新羅でも女帝が次々に出てきます。その関連性はこの本に譲りますが、その洞察が面白い。

さらにびっくりしたのは、倭寇の実体が、中国、朝鮮半島、日本の海に生きる人たちの連合共和国だったという説。なぜ、そう考えるか、その考えの軌跡が奇想天外でありながら、地に足を着いていて説得力がある。

ただ、第4章の「中国を理解する4つの鍵」までは、圧倒的に面白かったんですが、第5章の西洋を取り扱った部分はとても退屈。それは、氏が自分なりの通史を語ってしまったから。そうなんです、この本は歴史エンターテイメントと見るか、世界史として見るかで、全く受け取り方が違います。僕は前者。しかし、逆の見方もあると思います。

僕は3分の2(5章・6章以外)は圧倒的に面白かった。お薦めです。


by fromhotelhibiscus | 2014-04-24 20:35
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