私は脱原発。反原発ではない。

僕はね、総理であれ社長であれ市長であれ、トップの最も大きな役目は、その将来のあるべき姿を見定めて、これを国民、社員、市民にきちんと示し、共有し、そして実現に向けて率先して行動することだと思っています。

そういう思いで、今、視察が殺到している市民病院の民間移譲、この5年で、400億円の総借金を、職員の30%以上の削減や事務事業のムダを排して、300億円まで減らしたことを始め、さまざまな問題、課題に取り組んできました。もちろん、思い違いや失敗、いろんな負の場面もあったけど、トップとしてみんなと行動してきた。


今日は、原発のことを書きます。僕は、去る3月22日、ソフトバンクの孫社長とともに、古川佐賀県知事の特使として、福島県に伺いました。そこで見た惨状は、放射能被害に怒る、怯える、市民、県民のお姿でした。孫社長や私に対して、「もう原発はこりごり。国は一体何をやっているんだ!」という怨嗟の声。

そして、「チーム武雄」で向かった仙台市若林地区。ちょうど、夕方、吉川里己議員とペアになって恐ろしいほどの異臭がする汚泥を搬出しているときに、パラパラ雨が。これくらい平気、平気って思って作業やっていたら、地元の人が凄い形相で飛び込んできました。放射能雨に当たったら大変、すぐ、退避して!!とのこと。よく見れば、地元の皆さんも急いで、雨宿り。ここって仙台ですよ。福島から遠く離れた300キロ。


現地に真理は宿る。

被災地に伺って心底思いましたね。原発に関して、あるべき姿は、「脱原発」に向かうべきだ、と。 今回の福島第一原発の事故をきっかけに、国内、いや世界中で原発依存の是非が話題になっています。

これまで原電は「安全でクリーン、しかも安上がり」という三拍子そろったベストな発電方法だと思われていましたし、私もそうだと思っていました。 しかし、今回明らかになったのは、それはあくまでも平時の話であること、それには実はいろんな前提条件が付いていること、もっと言えば、そうした前提条件自体がかなり危うくお粗末なものだったということ。それと、何より、いざ、事故が起きると、とんでもないコストがのしかかる。しかも、それが長い間、悪影響が続くことになる。

その一方で、これから夏本番を迎えるに当って、国民は一層の節電が求められていますが、そんな状況の中で「原発がなくなるのは現実的でない、必要な電力を賄えない」という気持ちになることは否定はしません。


私が言いたいのは、「今」だけを捉えるのではなく、将来のあるべき姿を共有し、それに向けて歩き始めましょうということなんです。 私は、そのあるべき将来の姿は「脱原発」だと思いますし、それに向けた大きな一歩がソフトバンクの孫社長も提唱されている太陽光を始めとした再生可能エネルギーの普及だと考えています。そういう意味では僕は反原発ではない。

その上でですが、もちろん、当面は原発維持が必要になってくると私も思います。しかし、その判断は決して「今」ではない。玄海原発に近い坂井唐津市長もコメントを出されていますが、私も今、国からゴーサインを出されることは不安です。多くの武雄市民もそう思っている(ちなみに武雄市で最も近い若木町は玄海原発から30キロ、武雄市役所は40キロ、最も遠い西川登町ですら50キロ。)。

さらに、ここのところの原発再稼働問題には非常に違和感を持っているわけです。 現在、全国の商業用原発54基のうち37基が定期検査などで停止中ですが、ここ数日古川知事の玄海原発再稼働に関する発言について注目が集まっています。私は古川康佐賀県知事を尊敬していますし、この知事がいなかったら今の私はないでしょう。しかし、あえて言いますが、残念ながら、(おそらく)原子力に関する専門知識は持ち合わせてはおられません(と思います)。

そんな専門家でもない自治体の首長に、「再稼働」というスイッチを預けるような構図になっていることこそがおかしいと思うのです。 もともと、再稼働は地元同意の必要はありません。そういう意味では、九州電力も僕は県や地元と同じで客体(国が主体)だと思っています。玄海原発再開はそんなツケ回しを含む政治の意思ではなくて、安全の確認。

今、国がなすべきことは、ツケ回しのようなことではなく、文字通り「前提条件」である安全設計審査指針の見直しや具体的な安全対策を時間をかけて行っていくことではないでしょうか。現に福島原発の被害は進んでいるんですよ。福島原発の総括が終わらないうちに、何で国は再開を急ぐの?
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ここからが僕の基本的な提案。僕はね、数年かけて、福島原発問題を総括し、安全対策など徹底的に行った上で、10年間原発を認める。その10年で、日本の技術力を投入し、経済産業省もアホなバラマキ補助金はやめて、太陽光を始めとする再生可能エネルギー推進に徹底的に、国策補助金として投入する。官民、地方自治体、 NPO、公益団体の叡智を結集して、脱原発を進める。

今から40年前に、オイルショックが起こり、そこから、「脱石油」を旗印に、省エネ、原子力が出てきたように、今度は、我々の出番。「脱原発」を掲げて、再生可能エネルギーの裾野を広げて行こう。

政治家は、脱原発だけを唱えるだけ、原発から逃げていてはダメだと思う。太陽光等で、古川知事が行っているように、代替エネルギー政策を進め、原発に変わる具体的な選択肢を提示する必要がある。僕も言っている以上、具体的に行動する。

政権与党の民主党の皆さん、今、脱菅なんかやってる場合じゃないでしょ。特に、佐賀県選出の民主党議員の皆さん、原発問題で、存在感皆無なのはなぜ?

まあ、期待しても無理なので、我々地域住民で、議論していきましょう。そういう意味では、佐賀県主催の「玄海原子力発電所 緊急安全対策 県民フォーラム(Vol.2)」は大きな意味がある。2時間じゃなくて、夜を徹して、国に意見や質問をぶつけるべき、僕はそう思う。
by fromhotelhibiscus | 2011-06-30 23:11
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